【医師監修】顎関節症にストレッチは効果ある?改善すべき生活習慣は?
現代の日本では、顎関節症の症状に悩まされている方がとても多いです。噛むと顎が痛い、口を開けるとカクカク鳴るなど、この病気では関節特有の症状が見られるため、ストレッチをすれば改善の効果が期待できるのでは?と感じるかもしれません。
この記事では、顎関節症という病気の基本事項を確認した上で、症状の緩和に効果的なストレッチ方法や予防と改善に向けた生活習慣の注意ポイントなどをわかりやすく解説します。
目次
① 顎関節症とは?その症状と原因を理解する

顎関節症とは、頭蓋骨と下顎骨をつなぐ部分で痛みや雑音、炎症などが生じる病気です。顎関節は、単に骨と骨が連結しているのではなく、クッションの役割を果たす関節円板が介在していたり、やさまざまな筋肉・神経などが集中していたりすることから、どこかひとつでもトラブルが生じると、お口や頭、場合によっては全身にまで悪影響が生じる点に注意が必要です。
1. 顎関節症の原因は?
顎関節症の原因は、ひとつに絞ることは難しいです。多くのケースでは、以下に挙げるような要因が複数、絡んで顎関節症を発症します。
- 歯ぎしりや食いしばりの習慣がある(ブラキシズム)
- ストレスを受けることが多い
- かみ合わせが悪い(不正咬合)
- 硬い食べ物を習慣的に噛んでいる
- 食事のときに片側だけで咀嚼している
- 姿勢が悪い、うつ伏せで寝ている、頬杖をついている
- 交通事故などで顎に外傷を受けた
いずれもお口や体の健康に悪いものばかりなので、心当たりがある方は一度、歯科医院で診察を受けることをおすすめします。
② 顎関節症に効果的なストレッチ方法

ひと言で顎関節症といっても、患者様によって重症度が大きく異なります。比較的軽度の顎関節症であれば、以下のストレッチやマッサージで症状を改善する効果が期待できます。ただし、これらはあくまで対症療法であり、顎関節症を根本から治す方法ではありませんので、その点は正しく理解しておきましょう。
1. 開口ストレッチ
- 両手を左右のこめかみに当てて、下顎を右側に動かします。
- 続いて、下顎を左側に動かします。
- こめかみに当てた手はそのままで、口を「あー」と大きく開けます。
- 最後に、下顎を前に突き出します。
この動作を10回繰り返すのが顎関節症に効果が期待できる開口ストレッチです。10回を1セットで、1日5セット程度行うことで、適切な効果が得られやすくなります。
ただし、これはストレッチであることを忘れないでください。顎関節症の改善に効果があると聞くと、頑張って力強く顎を動かしてしまいがちですが、お口の周りの筋肉や関節に過剰な負担がかかると、かえって症状が悪化するおそれがあります。そのため顎を動かす時は、ゆっくりと力を入れすぎず、文字通りストレッチをする感覚で取り組んでください。
強い痛みが生じる場合は中断する
顎関節症の方が開口ストレッチを行うと、顎関節に相応の痛みが生じます。なぜなら開口ストレッチ自体が顎関節や周りの筋肉に負荷を与える動作だからです。その痛みが許容範囲であれば問題ありませんが、普段よりも強い痛みが生じる場合は無理をせずにストレッチを中断してください。
2. 筋肉マッサージ
顎関節症の症状をセルフケアで緩和する方法としては、ストレッチだけでなく、マッサージでも適切な効果が得られます。
- 痛みがある部分に人差し指と中指を当ててください
- 2本の指で円を描くような形でやさしく筋肉をほぐします
一般的には、側頭筋が分布するこめかみの周辺と咬筋が分布する耳と頬の間あたりをマッサージすることで、顎関節症と関連の深いそしゃく筋をほぐすことができ、症状の緩和に効果が期待できます。
筋肉マッサージを行うタイミングは、お風呂に入っている時やお風呂から出た時がおすすめです。入浴によって全身の血行が良くなっているため、そしゃく筋もほぐれやすくなります。
③ 顎関節症の予防と改善に向けた生活習慣

最後に、顎関節症と関連がある生活習慣を取り上げます。正しい生活習慣を身につけることで、顎関節症の予防や改善が期待できます。
1. 正しい姿勢を身につける
姿勢が悪いと、顎や首に不要な負担がかかり、顎関節にも悪影響が及ぶため、日頃から以下のポイントを意識した姿勢を身につけることが大切です。
- スマホやパソコンの画面は目の高さで見る
- 猫背にならない
- うつ伏せ寝や横向き寝は避けて、仰向け寝を意識する
- イスやソファに座る時は背中を真っすぐにする
2. 正しい食べ方・噛み方を身につける
食事をする時は、以下のポイントに留意して噛むようにしましょう。
- 左右の歯で均等に噛む
- やわらかいものばかり選ばず、適度に硬い物も食べる
- 極端に硬い食べ物は控えるようにする
- 食べ物は適度な力でよく噛む
④ 当院における顎関節症へのアプローチ

セルフケアで症状が改善しない、あるいは痛みが強いといった場合、専門的な診断と治療が必要になります。顎関節症の原因は一つではなく、かみ合わせの問題、歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)、生活習慣などが複雑に絡み合っているケースがほとんどです。
東デンタルクリニックでは、多角的な視点から根本原因を探り、患者様一人ひとりに最適な治療プランをご提案します。
1. 口腔外科と矯正歯科の連携による総合的診断
顎関節症は、顎の関節や筋肉の問題(口腔外科領域)と、歯並びやかみ合わせの問題(矯正歯科領域)の両方が関わることが少なくありません。当院では、それぞれの専門知識を活かし、総合的な観点から診断を行います。
まずは丁寧なカウンセリングと精密な検査を通じて、「なぜ顎関節症が起きたのか」という根本原因を徹底的に追求します。顎の状態、かみ合わせのバランス、生活習慣などを詳しくお伺いし、症状の背景を明らかにすることが、適切な治療への第一歩です。
2. 症状を和らげる保存療法から根本原因に迫る治療まで
ブログでご紹介したストレッチやマッサージは、ご自身でできる有効な保存療法(対症療法)の一部です。当院では、これらに加えて専門的な治療法をご提供しています。
スプリント療法(口腔外科)
主に就寝中に「スプリント」と呼ばれるマウスピース型の装置を装着する治療法です。歯ぎしりや食いしばりによる顎関節への過度な負担を軽減し、顎の筋肉の緊張を和らげます。顎を正しい位置へ導くことで、痛みやカクカクという音(クリック音)などの症状改善が期待できます。保険適用で治療が可能です。
矯正治療による根本的アプローチ(矯正歯科)
不正咬合(かみ合わせの悪さ)が顎関節症の根本原因であると診断された場合、矯正治療をご提案することがあります。歯並びを整え、上下の歯が正しく噛み合うようにすることで、顎関節への負担を根本から取り除き、症状の再発を防ぎます。 当院では、お子様の発育段階に合わせた小児矯正から、成人の方を対象とした成人矯正まで幅広く対応しています。目立ちにくいマウスピース矯正(インビザライン、ギコウアライナー)から、確実な歯の移動が可能なワイヤー矯正まで、多様な選択肢の中から患者様のご希望やライフスタイルに合わせた治療法をお選びいただけます。
3. 専門医による質の高い矯正治療
当院の矯正治療は、専門医が担当いたします。豊富な知識と経験に基づき、精密な検査結果を分析し、機能的にも審美的にも優れた、バランスの取れたかみ合わせを目指します。
初診の矯正相談は無料で行っておりますので、「自分の歯並びが顎の痛みの原因かも?」と感じる方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
⑤ 顎関節症に関するよくある質問

患者様からよく寄せられる、顎関節症に関する質問とその回答をまとめました。
Q1. ストレッチを続けていれば、顎関節症は治りますか?
A1. 軽度の症状であれば、ストレッチやマッサージで筋肉の緊張がほぐれ、症状が緩和されることはあります。しかし、これらはあくまで症状を和らげるための対症療法です。かみ合わせの異常や、就寝中の強い歯ぎしりなどが原因の場合、セルフケアだけでは根本的な解決に至らないケースが多いです。痛みが続く、口が開きにくいといった症状があれば、自己判断で続けずに一度専門家にご相談ください。
Q2. 顎関節症の治療は痛いですか?
A2. 多くの患者様が心配されますが、顎関節症の治療で強い痛みを伴うことはほとんどありません。当院で行う治療は、まずスプリント療法(マウスピース治療)のような、体に負担の少ない保存療法から開始します。外科的な処置が必要となるのは非常に稀なケースです。治療の各ステップで丁寧にご説明し、患者様の不安を取り除きながら進めていきますのでご安心ください。
Q3. 治療にはどのくらいの期間がかかりますか?
A3. 症状の重症度や原因によって大きく異なります。スプリント療法の場合、数週間から数ヶ月で症状の改善が見られることが一般的です。その後は経過観察となります。一方、かみ合わせの改善を目的とした矯正治療が必要な場合は、歯を動かすために数ヶ月から3年程度の期間が必要になることがあります。初診のカウンセリング時に、おおよその治療期間の目安をお伝えいたします。
Q4. 歯並びが悪いのですが、顎関節症と関係ありますか?
A4. はい、大いに関係があると考えられています。出っ歯(上顎前突)や受け口(反対咬合)、歯がガタガタに生えている乱杭歯(叢生)など、不正咬合があると、噛む力が顎に均等にかからず、特定の場所に過度な負担が集中しやすくなります。これが顎関節症を引き起こす原因の一つとなります。もし歯並びにもお悩みでしたら、矯正治療によって顎関節症と見た目の両方を改善できる可能性があります。
Q5. 子どもでも顎関節症になりますか?
A5. はい、なります。最近では、スマートフォン操作時のうつむき姿勢や、柔らかい食べ物中心の食生活による咀嚼回数の減少などから、お子様が顎の不調を訴えるケースも増えています。また、指しゃぶり、頬杖、うつ伏せ寝などの癖も、顎の健全な発育を妨げ、顎関節症の原因となり得ます。当院では小児歯科・小児矯正にも力を入れておりますので、お子様の気になる癖や症状があれば、お早めにご相談ください。
⑥ まとめ

今回は、顎関節症の改善に効果が期待できるストレッチ方法や生活習慣について解説をしました。顎関節症は、さまざまな理由で顎関節に過剰な負担がかかることで発症する病気です。
顎関節症になると顎の痛みや雑音、口を大きく開けられないなどの症状に悩まされることから、早期に対処するのが望ましいです。今回ご紹介した顎関節症のストレッチ方法やマッサージは決して万能ではありませんので、顎の痛みや雑音に悩まされている方は、まず歯科医師に相談することをおすすめします。