【医師監修】口が開かない!原因や対処法、受診のタイミングを解説
皆さんは「あごが痛くて口が開かない」「あくびをすると引っかかる感じがする」といった経験はありませんか?
口が開かない状態は、顎関節や周囲の筋肉に問題があるサインかもしれません。
放置すると痛みが悪化したり、食事や会話に支障をきたしたりすることがあります。
この記事では、「口が開かない」と感じたときに考えられる原因や受診のタイミング、治療法について歯科医師の立場から詳しく解説します。
目次
口が開かない原因とそのメカニズム

「口が開かない」という症状の多くは、顎関節(がくかんせつ)や咀嚼筋(そしゃくきん)のトラブルが関係しています。
主な原因を順に見ていきましょう。
顎関節症によるもの
最も多い原因が「顎関節症」です。
顎関節症は、あごの関節や筋肉の動きに異常が生じて、痛みや開口障害(口が開きにくい状態)を引き起こします。
関節の中にある「関節円板(かんせつえんばん)」というクッションの位置がずれたり、筋肉が緊張しすぎたりすると、関節の動きがスムーズでなくなります。
特に、ストレスや歯ぎしり・食いしばりの癖がある方は、あごの筋肉に過度な負担がかかりやすく、症状が起こりやすい傾向があります。
筋肉の炎症やこり
長時間のパソコン作業やスマートフォンの使用などで、首や肩まわりの筋肉がこると、あごを動かす筋肉も緊張しやすくなります。
その結果、口を開けようとすると筋肉がうまく伸びず、痛みや違和感を伴って開けにくくなることがあります。
寝ている間の食いしばりや、硬いものを噛み続ける習慣も原因の一つです。
外傷や打撲による影響
転倒や事故であごを強く打った場合、関節や靭帯に損傷が生じ、炎症によって関節がうまく動かなくなることがあります。
この場合、痛みや腫れを伴い、急に口が開かなくなることもあります。
骨折や脱臼を伴うと、関節の構造そのものがずれてしまい、自然に治ることはほとんどありません。
一見軽いケガでも、後から関節の動きが制限されるケースがあるため、早めの受診が重要です。
顎関節の変形や関節リウマチ
慢性的な炎症や関節の変形、リウマチなどの疾患があると、関節構造自体が破壊され、可動域が制限されることがあります。
このようなケースでは、早期の診断と治療が非常に重要です。
口が開かないときの受診タイミング

「少し違和感があるけど、そのうち治るかも」と放置する方も少なくありません。
しかし、顎の症状は自然に改善しにくく、早期の対応が回復を左右します。
次のような症状があれば早めに歯科や口腔外科へ
- 口を指2本分以上開けられない(おおよそ3cm未満)
- 開けるときに「カクッ」「ガクッ」と音がする
- あごを動かすと痛みや重だるさを感じる
- 片側の関節だけが痛む、または左右差がある
- 症状が1週間以上続いている
これらの症状がある場合は、顎関節症や関節円板のずれなどの可能性が高く、早めの受診がすすめられます。
緊急性が高いケース
次のような場合は、できるだけ早く医療機関を受診してください。
- あごが動かず、食事や会話が困難
- 外傷の後に強い痛みや腫れがある
- 顔の形が左右で変わって見える
- 発熱を伴う
これらはあごの脱臼や化膿性の炎症(膿がたまる状態)など、放置すると悪化するケースです。
早期に対処することで予後も良くなる傾向にあることから、迷わず専門家の診察を受けましょう。
口が開かない時の治療法

原因によって治療法は異なりますが、まずは痛みの軽減と機能の回復を目的に段階的な治療を行います。
保存的療法(手術を伴わない治療)
軽度の顎関節症や筋肉性の開口障害では、以下のような治療を組み合わせて行います。
- 安静指導:口を大きく開けない、硬いものを避けるなど関節への負担を減らす
- 温熱療法:あごの筋肉を温めて血流を促し、筋肉の緊張を和らげる
- スプリント(マウスピース)療法:夜間の食いしばりや歯ぎしりを防ぎ、関節や筋肉への負担を軽減する
- 理学療法(ストレッチ・開口訓練):顎関節の可動域を広げるトレーニングを段階的に行う
- 薬物療法:痛みや炎症が強い場合には、鎮痛薬や筋弛緩薬などを併用します。炎症を抑えることで関節や筋肉の動きがスムーズになり、開口障害の改善につながります。
多くの場合、これらの保存療法で症状の改善がみられます。
外科的治療
関節円板の位置ずれが著しい場合や、保存療法で改善がみられない場合には、関節鏡下手術や関節洗浄などの外科的治療が検討されます。
ただし、手術が必要となるケースはごく一部であり、多くの患者様は保存的治療で十分に回復が見込めます。
当院における開口障害への取り組み

「口が開かない」「あごが痛い」という症状は、日常生活に大きな支障をきたします。
当院では、口腔外科の専門知識と高度な医療設備を活用し、痛みの根本原因を正確に診断し、患者様の負担を最小限に抑えた治療を提供しています。
大阪大学歯学部出身の院長による専門的な診察
口腔外科の専門性:
当院の院長は、難症例の治療経験が豊富な大阪大学歯学部出身であり、顎関節症や口腔外科領域の症状に対する専門的な知見を持っています。
顎関節や咀嚼筋の状態を的確に評価し、原因に応じた適切な診断を下します。
全身の健康を考慮した診断:
顎関節症は、ストレス、姿勢、全身疾患(関節リウマチなど)とも関連が深いため、単に口の中だけでなく、患者様の生活習慣や既往歴も考慮した多角的なアプローチで原因を追究します。
精度の高い診断を可能にする最新設備
歯科用CT「VeraviewX800」の活用: 顎関節症の診断において、顎関節の骨の変形や異常は非常に重要です。
当院導入のCTは、顎関節の構造や関節円板の位置を立体的に把握できるため、症状が重度化しているケースや外傷後の診断において、確実な原因特定を可能にします。
非侵襲的な治療の追求:
外科的治療(手術)が必要となるケースはごく一部です。
当院では、まずは安静指導、薬物療法、スプリント(マウスピース)療法といった、患者様への負担が少ない保存的療法を基本として、機能回復を目指します。
噛み合わせと筋肉の緊張を緩和する治療
カスタムメイドのスプリント(マウスピース):
歯ぎしりや食いしばりが原因で顎関節に過度な負担がかかっている患者様には、精密な型取りに基づいたカスタムメイドのスプリントを作製します。
これにより、夜間の悪習癖から関節と筋肉を守り、痛みの緩和と関節円板の正常な位置への誘導を促します。
筋肉へのアプローチ:
緊張が強い咀嚼筋(あご周りの筋肉)に対しては、温熱療法やストレッチ指導に加え、必要に応じてヒアルロン酸やボツリヌス製剤を用いた治療もご提案可能です。
筋肉の過剰な働きをリラックスさせ、開口障害の改善をサポートします。
よくある質問 (Q&A)

Q1. 顎関節症は放置しても自然に治りますか?
A. 軽度の症状であれば、自然に治るケースもありますが、顎関節症は慢性化しやすい病気です。
特に「カクカク」といった関節音が「ガクッ」という関節円板のずれに進行したり、開口障害が徐々に悪化したりするケースが多く見られます。
放置すると関節構造の変形が進み、治療がより複雑になる可能性があるため、「おかしいな」と感じたら、症状が軽いうちに受診し、進行を防ぐことが重要です。
Q2. 顎関節症の治療で保険は適用されますか?
A. 顎関節症の治療の多くは、保険診療で対応可能です。
具体的には、診察、レントゲン検査(CT撮影含む)、薬物療法、そしてスプリント(マウスピース)の作製・調整などは保険が適用されます。
ただし、治療の選択肢としてご提案するボツリヌス製剤や美容HIFUなど、審美・美容目的の治療を兼ねる場合は自費診療となることがあります。
Q3. スプリント(マウスピース)はいつ、どのくらいの期間使いますか?
A. スプリント治療は、主に夜間(就寝時)に装着していただきます。
夜間の無意識の歯ぎしりや食いしばりによる顎関節への負担を軽減することが目的です。
治療期間は症状によって異なりますが、一般的には3ヶ月〜1年程度装着し、症状の改善度を見ながら調整を続けます。
症状が改善した後も、再発防止のために使用を推奨する場合があります。
Q4. 顎関節症と歯並び(矯正治療)には関係がありますか?
A. 深い関連があると考えられています。
極端な出っ歯(上顎前突)や受け口(下顎前突)、あるいは一部の歯に過度な負担がかかるような悪い噛み合わせ(不正咬合)は、顎関節に偏ったストレスを与え、顎関節症を引き起こす一因となることがあります。
顎関節症の症状が落ち着いた後、根本的な改善のため矯正治療や被せ物による噛み合わせの再構築をご提案するケースもあります。
まとめ

今回は、口が開かないときに考えられる原因や対処法、医療機関を受診するタイミングについて解説しました。
口が開かない原因の多くは、顎関節や筋肉のトラブルによるものです。
痛みを我慢して放置すると、関節の動きがさらに悪化し、慢性化することもあります。
「口が開かない」「あごが痛い」「カクカク音がする」といった症状がある場合は、早めに歯科や口腔外科を受診し、適切な治療を受けましょう。
早期の対応によって、多くのケースは軽症のうちに改善が可能です。