初めてでも安心! デンタルフロスの選び方と使い方
毎日きちんと歯をみがいているのに、むし歯や歯周病になってしまう…
そんなお悩みはありませんか?
実は、歯ブラシだけでは落としきれない汚れが「歯と歯のすき間」にたまりやすく、それが原因で歯ぐきが腫れたり、歯を失ってしまうリスクが高まるのです。
その解決策が「デンタルフロス」。
歯のすき間のプラーク(歯垢)をやさしくかき出すことで、むし歯や歯周病の予防に大きな効果を発揮します。
この記事では、デンタルフロスの必要性や使い方、当院で行っている予防ケアについてわかりやすくご紹介します。
ご自身やご家族のお口の健康を守るために、ぜひ参考にしてください。
目次
- デンタルフロスとは?その重要性について
- デンタルフロスの種類とその選び方について
- デンタルフロスと歯間ブラシの違い
- 当院の予防ケアとデンタルフロス指導の特徴
- デンタルフロスに関するよくある質問
- まとめ
デンタルフロスとは?その重要性について

デンタルフロスは、歯と歯の間のすき間にたまったプラーク(歯垢)や食べかすを取り除く糸状の清掃用具です。
歯ブラシでは届きにくい部分に入り込み、虫歯や歯周病の予防に大きな効果を発揮します。
1. 「歯ブラシが届かない場所」の汚れをしっかり除去
歯と歯の間は非常にせまく、毛先の太い歯ブラシでは十分に汚れを取り除くことができません。
デンタルフロスはそうしたすき間に入り込み、汚れをかき出してお口の健康を守ります。
実際、歯ブラシのみだと歯間の汚れは全体の6割程度しか落とせませんが、デンタルフロスを併用すると9割近くまで除去率がアップします。
2. デンタルフロスの効果
①虫歯・歯周病予防
歯間にたまった食べかすや細菌(プラーク)を除去することで、虫歯や歯周病の発生リスクを減らします。
②口臭予防
口臭の多くは、口内の細菌が食べかすを分解する際に発生させる揮発性ガス(揮発性硫黄化合物)が原因となっています。
デンタルフロスはこれらのガスの発生を抑え、口臭を防ぐ効果があります。
③虫歯や詰め物の不具合を発見
デンタルフロスを引き抜く際に、頻繁に引っかかったり毛羽だったりする箇所は、初期の虫歯か詰め物に不具合が生じている可能性があります。
このようなご家庭でのセルフチェックにも、デンタルフロスは有効です。
デンタルフロスの種類とその選び方について

デンタルフロスには様々な種類があり、自分に合ったものを選ぶことが大切です。デンタルフロスが初めての方は、以下を参考にまずは「使いやすさ」を重視して選びましょう。
形状による違い
ホルダータイプ:初心者向け
持ち手がついたデンタルフロスで、初心者でも扱いやすいのが特徴です。
「F字型」と「Y字型」の2タイプがあり、それぞれ使用感が異なります。
- F字型:持ち手が平らで、前歯の歯間ケアに向いています。
- Y字型:持ち手が立体的で、奥歯の歯間ケアがしやすい形状になっています。
糸巻きタイプ(ロールタイプ):中級~上級者向け
指に巻きつけて使用するデンタルフロスです。
細かい操作ができるため、歯全体をしっかりケアしたい方に向いています。
慣れるまでは少し時間がかかってしまいますが、自由に長さを調整できるため、コストパフォーマンスも優れています。
フロスの性状による違い
ワックスタイプ
糸にワックスがコーティングされているため滑りが良く、歯と歯の間にスムーズに挿入できます。
フロス初心者や歯間の狭い方におすすめです。
ノンワックス(ワックスなし)タイプ
糸の表面がざらついているため、ワックスタイプに比べてプラーク除去力が高いのが特徴です。
使いこなせるようになれば、より効果的な清掃が可能になります。
エクスパンディングタイプ
唾液や水分を含むと膨らむ加工が施されており、歯間にぴったりフィットして汚れをしっかりからめとります。
歯間が広い方やブリッジ周囲のケアに適しています。
デンタルフロスと歯間ブラシの違い

歯間ケア用品にはデンタルフロスのほかに、「歯間ブラシ」というアイテムがあります。
それぞれに形状や使い方、適した場所が異なるため、自身に合ったアイテムを選ぶことが大切です。
形状と使い方の違い
デンタルフロスは糸を歯間に挿入し、歯の側面に沿わせながら上下に動かして汚れをかき出していきます。
一方の歯間ブラシは、ワイヤーに小さなブラシがついているもので、歯と歯のすき間に横から挿入し、前後に細かく動かして汚れを取り除いていきます。
どちらを選ぶべき?
デンタルフロス
歯と歯の間が狭い方や若年層など、歯ぐきが健康で引き締まっている方におすすめです。
また、歯列矯正中の方や矯正装置の周りのケアにも向いています。
歯間ブラシ
加齢や歯周病で歯ぐきが下がり、歯間のすき間が広くなっている方におすすめのアイテムです。
サイズも豊富にあり、歯間の大きさに合った太さを選ぶことができます。
ブリッジやインプラント周囲のケアにも適しています。
どちらかではなく「使い分け」が大切
デンタルフロスと歯間ブラシはどちらか一方だけを使うのではなく、お口の状態や歯間のすき間の広さによって使い分けるのが理想的です。
必要に応じて両方を使い分けることで、より高い清掃効果が得られます。
当院の予防ケアとデンタルフロス指導の特徴

東デンタルクリニックでは、「治療をする」こと以上に、「治療が不要な状態を保つこと=予防」に力を入れています。
特に、歯と歯の間のケアはむし歯や歯周病の早期予防に直結する重要なポイントであり、デンタルフロスの正しい使い方や活用方法を患者さまに合わせて丁寧にお伝えしています。
1. お口の状態に合わせたパーソナルな指導
患者さまの年齢や歯並び、手先の器用さ、ケアへの慣れ具合によって、最適なフロスの種類や使い方は異なります。
当院では歯科衛生士が事前にお口の状態を確認し、以下のようなきめ細かいサポートを行います。
ホルダータイプ/ロールタイプの選び方の違い
- 「初心者でも扱いやすい形状を知りたい」「細かい操作に自信がない」という方には、持ち手付きのホルダータイプ。
- 「コストパフォーマンスが気になる」「すき間のサイズに柔軟に対応したい」方にはロールタイプをおすすめします。
子どもや高齢者にもやさしい使い方
- 乳歯と永久歯が混ざる時期の子どもには、やわらかい素材やフレーバー付きのフロスを提案。
- 加齢によりすき間が広くなっている高齢の方には、歯間ブラシとの併用指導も行います。
はじめての方には実演つきで丁寧に
- 実際にフロスを使用しながら、鏡を見て一緒に練習。歯ぐきに優しい動かし方や深さの目安も、実体験として身につけていただけます。
2. 予防の効果を最大限に高める“医院でのケア”との併用
セルフケアだけで完全に予防できるわけではありません。
当院では以下のプロフェッショナルケアを組み合わせ、家庭では落としきれない汚れをしっかり除去します。
スケーリング(歯石除去)
歯垢が硬くなって石のようになった“歯石”は、自宅ケアでは取れません。スケーラーという専用器具で取り除きます。
PMTC(専用器具を用いたクリーニング)
歯面をツルツルに仕上げ、汚れの再付着を防止。口腔内の爽快感もあり、フロスやブラッシングへの意識が高まります。
ブラッシング指導(TBI)
「フロスを入れる方向」「力加減」「歯ぐきへの当て方」など、患者さま一人ひとりに合わせた実践型レッスンです。
定期検診との連携
デンタルフロス指導は一度で完結しません。検診のたびに習慣や使い方の確認をし、ケアの定着を支援します。
- ポイント:
フロス=「うまくできないからやらない」の壁を越えるお手伝いをしています
デンタルフロスに関するよくある質問

フロスに関してよくある疑問を、患者さまの声をもとに歯科衛生士が解説します。
「気にはなるけど聞きにくい」そんなお悩みも解消しましょう。
Q1. フロスは本当に必要?歯ブラシだけではだめなの?
A:歯ブラシだけでは約6割しか汚れを落とせないというデータがあります。
特に歯と歯の間(歯間部)は毛先が届きにくく、プラーク(細菌の塊)が残りやすい場所です。
フロスを使うことでむし歯・歯周病のリスクを大幅に減らすことができます。見えない部分だからこそ、意識的なケアが重要です。
Q2. どのタイミングで使えばいいの?朝・夜どっちが良い?
A:基本的には、1日1回、夜の歯みがきの前か後に使うのがおすすめです。
夜は1日の食べかすや細菌が多くたまる時間帯。寝ている間は唾液が減って細菌が繁殖しやすいため、寝る前のケアが特に重要です。
みがく前に使えば、汚れを落としてから歯ブラシが届きやすくなり、みがいた後に使えば、最終チェックになります。生活スタイルに合わせて選びましょう。
Q3. フロスを使うと出血します。やめた方がいいですか?
A:いいえ。炎症がある証拠なので、正しく続ければ徐々に出血しなくなります。
はじめてフロスを使うと、腫れている歯ぐきから出血することがあります。これは歯ぐきがプラークに反応して腫れているサイン。
2〜3日~1週間ほど続けると腫れが引き、出血も治まる場合がほとんどです。ただし、力を入れすぎると傷になるため、気になる方は当院で使い方を確認しましょう。
Q4. 子どもにも使った方がいいの?何歳から?
A:お子さまにもぜひ使用をおすすめします。特に乳歯の歯と歯の間はむし歯になりやすいです。
2~3歳頃から、歯と歯の間が密接に生えている場合にはフロスの使用が有効です。
専用のやわらかいホルダータイプなど、使いやすく設計された子ども用フロスもあります。ご家庭でのケアが難しいと感じた場合も、定期検診で指導を受けていただければ安心です。
Q5. どのフロスを選べばいいか分かりません…
A:お口の状態や使いやすさの好みによっておすすめが変わります。
- 初心者・忙しい方: ホルダータイプ(糸ようじ)
- すき間が狭い: ワックス付きのロールタイプ
- 細菌除去力を重視: 拡張型(ふくらむタイプ)や抗菌加工付きフロス
- 環境が気になる: 生分解性素材のエコフロス
当院では、実物をご覧いただきながらアドバイスをしていますので、購入前にお気軽にご相談ください。
補足
「分かっていても、なかなか続けられない…」という方こそ、プロの手を借りるタイミングかもしれません。“あなたに合った方法”を一緒に見つけるのが、私たちの役割です。
まとめ

デンタルフロスは、歯ブラシでは届かない「歯と歯の間」のケアに欠かせないアイテムです。
目的や使いやすさに応じて自分に合った種類を選ぶことで、無理なく習慣化することができます。
さらに、歯間ブラシとの違いを理解して、状況に応じて使い分けることも大切です。
「自分に合うアイテムが知りたい」「使い方がいまいちよくわからない」など、ケア用品でお悩みの際はお気軽に当院スタッフへご相談ください。