マウスピース矯正とは?市販品との違いやメリット・デメリットを解説
「悪い歯並びを治すなら目立たない矯正がしたい…」
「ワイヤー矯正は装置が目立つし、痛そうなので嫌だ…」
そんな方に支持されているのがマウスピース矯正です。
透明なマウスピースをつけるだけで歯並びが良くなるため、幅広い年代の方の人気を集めていますが、本当に効果があるのか不安であったり、市販品でも十分と感じていたりする方もいるようです。
ここではそんなマウスピース矯正の特徴やメリット・デメリット、歯科医院での治療の流れなどを詳しく解説します。
目次
① マウスピース矯正とは?メリット・デメリットは?

マウスピース矯正とは、ポリウレタンなどの樹脂で作られた透明なマウスピースを使う歯列矯正です。
歯の表面にメタルブラケットやワイヤーを固定する方法とは、歯を動かすメカニズムが根本的に異なります。そのためマウスピース矯正は特有のメリットとデメリットを伴います。
1. マウスピース矯正のメリット
○矯正中の見た目が気にならない
マウスピース矯正の装置は薄くて無色透明なので、矯正中の見た目が気になりにくいです。
そのため接客業や人前でプレゼンする機会が多い方などは、矯正治療が仕事に与える審美的な影響を最小限に抑えられます。
○矯正装置のケアがしやすい
ワイヤー矯正の装置は、とても複雑な構造をしているため、ケアが大変です。
その点マウスピース矯正は、表面がツルツルの装置をお口から取り外した状態でケアできるので、矯正期間中の衛生管理がしやすいです。
○金属アレルギーの心配がない
マウスピース矯正では、樹脂製のマウスピース(アライナー)やアタッチメント、矯正用ゴムしか使わないことから、金属アレルギーの心配がないです。
○装置による不快症状やトラブルが少ない
マウスピース矯正の装置は、表面が滑らかなので歯ぐきや舌を傷めることがほとんどありません。
装置の脱離や歪みもワイヤー矯正より起こりにくいといえるでしょう。さらにマウスピース矯正では、歯を比較的弱い力で動かすため、歯の移動に伴う痛みも少なくなっています。
2. マウスピース矯正のデメリット
○歯を大きく動かすのは不得意
歯並びの症状が重く、抜歯をして歯を大きく動かさなければならない症例は、マウスピース矯正が向いていません。
○患者様の協力度によって仕上がりや効果が変わる
矯正用のマウスピースは、患者様自身が着脱することから、協力度や自発性に応じて、治療の仕上がりや効果が変わってきます。
マウスピース矯正は、治療に積極的な患者様ほど、適切な効果が得られやすい矯正法なのです。
○食事と歯磨きのときに装置を外す必要がある
この点は患者様の価値観によってメリットにもデメリットにもなりえます。
人によっては、1年中つけたままのワイヤー矯正の方が楽と感じる場合もあるからです。
② 市販品と歯科処方の違い

インターネットでマウスピース矯正の情報を調べていると、「市販品」を目にすることもあるかと思います。
市販品のマウスピースなら、費用が安く、歯科医院への通院も不要となるため、患者様にとってはメリットの大きい矯正法に感じるかもしれませんが、専門家の観点からはあまりにも危険であることから、おすすめすることはまずありません。
なぜなら市販品のマウスピース矯正と歯科処方のマウスピース矯正には、以下に挙げる違いが見られるからです。
- 歯科医師による検査や診断を受けられない
- 矯正治療の効果に科学的な根拠がない
- トラブルが起きても自己責任となる
市販品のマウスピース矯正は、基本的に既製品を使用します。
市販品のマウスピース矯正の中には、歯型取りを行うものもあるようですが、素人が行うことから、精度において問題があります。
そもそも矯正治療というのは医療行為の一種であり、市販の既製品を使って素人が適切に行えるものではないため、こうしたサービスを利用するのは推奨できません。
市販品のマウスピース矯正では、歯並びがきれいに治らないどころから、逆に悪くなったりする可能性も十分にあります。
③ 歯科医院でのマウスピース治療の流れ

歯科医院でのマウスピース矯正は、次の流れで進行します。
- STEP1:矯正相談・カウンセリング
- STEP2:精密検査・診断
- STEP3:矯正治療のデジタルシミュレーション
- STEP4:治療計画の立案・説明
- STEP5:マウスピースの発注・製作
- STEP6:マウスピースの使用開始
- STEP7:定期的な通院(1~2か月に1回程度)
- STEP8:マウスピースの使用終了・仕上がりの確認
- STEP9:保定処置(後戻りの防止)
- STEP10:メインテナンス
マウスピース矯正の治療の流れも基本的には従来法と同じですが、コンピューター上でのデジタルシミュレーションやマウスピースをまとめて発注・製作するプロセス、患者様自身がマウスピースを装着・交換していく点には違いが見られます。
ちなみに、マウスピース矯正でも、歯を動かす動的治療が終わった後には、後戻りを防止する保定処置が必要となります。
④ 当院のマウスピース矯正の特徴

1. 高精度な3Dシミュレーションによる治療計画
マウスピース矯正は、見た目の美しさだけでなく、かみ合わせや口元のバランスまで考慮した治療が求められます。
当院では、最先端の3Dシミュレーション技術を活用し、治療開始前に歯がどのように動き、最終的にどのような仕上がりになるかを視覚的にご確認いただけます。
これにより、治療期間中の不安を軽減し、患者様ご自身が納得した上で安心して治療に取り組んでいただけます。また、シミュレーションをもとにした精密なマウスピース作製により、より高い矯正効果と快適な装着感を実現しています。
2. 目立ちにくく快適なマウスピース型装置
マウスピース矯正は、「矯正治療をしていることを気づかれたくない」という方に最適な治療法です。
当院では、世界的に実績のある「インビザライン」や、日本国内でも高い評価を受けている「ギコウアライナー」など、透明で目立ちにくいマウスピース型矯正装置を採用しています。
装置の薄さと透明度の高さにより、会話や笑顔の際にもほとんど気付かれません。営業職や接客業など、人前に立つお仕事をされている方にも大変人気の高い治療法です。
3. 取り外し可能で衛生的
従来のワイヤー矯正と異なり、マウスピースはご自身で簡単に取り外しが可能です。
食事中は外していただけるため、好きなものを我慢する必要がなく、普段通りの食生活を楽しめます。また、歯磨きやデンタルフロスによるセルフケアもしやすく、口腔内を清潔に保つことができるため、むし歯や歯周病のリスクを最小限に抑えられます。
特に「矯正中のむし歯や歯周病が心配」という方には、マウスピース矯正が理想的です。
4. 通院回数が少なく、忙しい方にも最適
マウスピース矯正は、あらかじめ作成された一連のマウスピースを計画的に交換しながら進めていくため、ワイヤー矯正のような頻繁な調整が不要です。
通常、1〜2ヶ月に1回程度の通院で済むため、仕事や学業でお忙しい方、遠方からご来院いただく方にも負担が少ないのが大きなメリットです。オンライン相談や経過チェックにも対応していますので、ライフスタイルに合わせた柔軟な治療スケジュールが可能です。
5. 金属アレルギーの心配がない
マウスピース矯正では、金属素材を一切使用しないため、金属アレルギーの心配がありません。これまで金属アレルギーのために矯正治療を諦めていた方にも、安心してご利用いただけます。
また、金属特有の冷たさや異物感がなく、装着中の不快感もほとんどありません。さらに、歯茎への負担も少ないため、長期間にわたる矯正治療でも快適に過ごしていただけます。
⑤ よくある質問

Q1. マウスピース矯正は誰でも受けられますか?
A.基本的には、軽度から中等度の歯並びの乱れであれば、多くの方にマウスピース矯正をご提案できます。ただし、歯並びの状態によっては適応が難しい場合もあります。たとえば、歯の重なりが著しい重度の叢生(乱ぐい歯)や、上下のあごの骨格的なズレが大きい場合は、ワイヤー矯正や外科的なアプローチが必要になることもあります。
また、年齢に関係なく治療は可能ですが、歯周病が進行している方や顎関節症が重度の場合は、まずそちらの治療を優先する場合もあります。当院では、事前に精密検査と3Dシミュレーションを行い、患者様に最適な治療法をご提案しています。まずはお気軽に無料相談をご利用ください。
Q2. どのくらいの期間で歯並びはきれいになりますか?
A. マウスピース矯正の治療期間は、患者様の歯並びの状態や目指すゴールによって異なります。比較的軽度なケースでは8ヶ月程度で完了することもありますが、歯の移動距離が大きい場合や複雑な調整が必要な場合は、2〜3年ほどかかることもあります。
また、患者様が1日あたりの装着時間をしっかり守れているかどうかも、治療期間に大きく影響します。当院では、初診時に3Dシミュレーションを用いて、治療開始から完了までの大まかなスケジュールをご説明いたしますので、ご自身のライフイベントやご予定に合わせた無理のない治療計画を立てていただけます。
Q3. 痛みはありますか?
A. マウスピース矯正は、従来のワイヤー矯正に比べて痛みが少ないのが大きな特徴ですが、全くの無痛というわけではありません。新しいマウスピースに交換した直後や、歯が動き始める初期段階では、歯に軽い圧迫感や違和感を覚えることがあります。
しかし、多くの患者様は2〜3日で慣れ、通常の生活に支障をきたすほどの強い痛みを感じることはほとんどありません。どうしても痛みが気になる場合は、市販の痛み止めを服用いただけますし、必要に応じてマウスピースの調整も可能ですのでご安心ください。
Q4. 1日にどれくらい装着する必要がありますか?
A. マウスピース矯正は、継続的な装着が歯を効率よく動かすために非常に重要です。当院では、1日20時間以上の装着を推奨しています。特に、食事と歯磨きの時間以外はなるべく装着していただくことで、予定通りに歯が動き、治療期間を短縮することにもつながります。
装着時間が不足すると、治療が長引いたり、マウスピースが合わなくなったりするリスクが高まるため、日中はもちろん、就寝時も忘れずに装着することが大切です。どうしても長時間外してしまった場合は、次回の診察時にご相談ください。
Q5. 保険は適用されますか?
A. 矯正治療は、見た目の改善や予防的な目的で行う場合は、原則として自由診療(自費診療)となり、健康保険は適用されません。ただし、特定の重度な噛み合わせ異常や外科的矯正が必要な場合は、保険適用となるケースもあります。
当院で行うマウスピース矯正(インビザライン・ギコウアライナー)は、自由診療の範囲となりますが、費用負担を軽減するための分割払いや各種クレジットカードでのお支払いもご利用いただけます。お支払い方法についてもお気軽にご相談ください。
Q6. 途中でマウスピースが合わなくなった場合はどうすれば良いですか?
A. 治療中にマウスピースが合わなくなることは珍しいことではありません。これは、予想以上に歯が早く動いた場合や、逆に装着時間が不足して予定通りに動いていない場合などに起こります。
当院では、そうした場合にも迅速に対応できるよう、随時再スキャンを行い、新しいマウスピースを作成する体制を整えています。また、適切なタイミングで調整を行うことで、治療が大きく遅れることのないようサポートいたします。装着中に違和感やズレを感じた場合は、自己判断せずに早めにご相談ください。
⑥ まとめ

今回は、マウスピース矯正の特徴や市販品との違い、マウスピース矯正に伴うメリット・デメリットについて解説しました。
透明な樹脂製のマウスピースを患者様自身が着脱するマウスピース矯正は、従来法とは大きく異なる治療法です。
装置が目立ちにくい、食事や歯磨きがしやすいという利点を享受したい場合は、市販品を活用する選択肢もないわけではありませんが、歯列矯正は医療行為であることを忘れてはいけません。
市販品のマウスピース矯正は、歯並びを適切に治すことができないので、必ず歯科医院で治療を受けるようにしましょう。