子供が前歯をぶつけたときの正しい対処法と黒く変色した場合の注意点
お子さまが転んで前歯をぶつけてしまった――
突然のアクシデントに、どう対応すればよいのか戸惑われる親御さんは多いのではないでしょうか。
特に「前歯が黒く変色してきた」という場合は、自然に治るのか、それとも早めに受診すべきか心配になりますよね。このページでは、ぶつけた直後の応急処置や歯が黒く変色する原因、適切な治療方法について詳しくご紹介します。
大切なお子さまの歯を健康に保つために、ぜひ最後までご覧ください。
目次
① 子供が前歯をぶつけたときの正しい応急処置

地面に転ぶなどして子供が前歯に外傷を負ったら、まずはお子様の体の状態を冷静に確認してください。具体的には、以下の症状をチェックしましょう。
- 出血していないか
- 歯は折れていないか
- 歯のぐらつきはないか
- 唇や歯ぐきに大きな腫れはないか
- お口以外に傷を負っていないか
お口の粘膜などに出血が見られる場合は、清潔なガーゼやティッシュなどで止血を試みてください。
歯が折れたり、抜けたりしている場合は、手に入るのであれば牛乳や生理食塩水に浸けて保管。
それが難しければ、お口の中に含んでおいてください。
歯の抜け方によっては、元に戻せるかもしれません。歯が折れている場合も接着という形で元に戻せることがあります。
歯のぐらつきが認められる場合は、舌や指で触らないようにしてください。
必要のない刺激を加えると、症状がさらに悪化します。
お子様も気が動転しているかもしれませんが、その点は冷静に対処する必要があります。
こうしたチェックが一通り終わったら、できるだけ早く歯科医院に電話をして、状況を説明しましょう。
多くの歯科医院では、子供の歯の外傷に対して優先的に対応してくれます。
② 前歯が黒く変色してくる原因と放置するリスク

前歯を強くぶつけた際に見られる変色には、2つの種類があります。
1つ目は、黄色やピンクの変色です。
これは前歯の外傷による内出血が原因で、変色は一時的な症状にとどまります。
歯の神経に深刻なダメージが及んでいなければ、前歯の変色も徐々に改善されていくことが多いです。
2つ目は、前歯が黒い、あるいはグレーになる変色で、これは歯の神経が死んでいる可能性が高いです。
私たちの歯の中心部分には、歯髄(しずい)と呼ばれる歯の神経と血管から構成される組織が分布しており、強い衝撃が加わると死んでしまうことがあるのです。
その後、時間の経過とともに死滅した神経や血管の細胞が断片化し、象牙質へと沈着します。
外側からはそれが歯の黒い変色に見えるようになります。
ちなみに、ぶつけた前歯の黒い変色は、自然に治ることはありません。
それどころか歯の内部で細菌感染が起こり、歯ぐきや顎の骨にまで腫れや痛みを引き起こしかねないことから、ぶつけたことによって黒く変色した前歯を放置するのはNGです。
今の時点で目立った腫れや痛みがなかったとしても、早めに歯科医院を受診するようにしてください。
③ 変色した歯の治療法と経過観察の重要性

外傷によって変色した歯の治療法は、症状の経過や年齢によって変わります。
1. 経過観察
転んでぶつけた際の歯の変色が受傷から2~4週間以内に現れ、お子様の年齢も2歳以下である場合は、自然治癒する可能性もあるため、積極的な処置は施さず、経過を見ていくことが多いです。
また、乳歯の前歯の黒い変色は、永久歯への交換に支障をきたさないことも珍しくないことから、経過観察のままその時期を待つのもひとつの選択です。
2. 根管治療
子供の前歯の変色の経過が悪い場合は、歯の根の治療を行わなければなりません。
外傷によって死んでしまった歯髄を取り除き、根管内をきれいに清掃します。
その結果、永久歯の生え変わりが正常に進むようであれば、経過を見ていきます。
3. 抜歯
前歯の外傷による変色に加え、強い細菌感染や根尖病巣などが生じているケースでは、根管治療ではなく抜歯で対応することもあります。
こうしたケースでは、時間をかけて根管治療を行っても次に生えてくる永久歯への悪影響を完全に除去することが難しいため、根本的な原因となっている前歯を抜き取ります。
乳歯の前歯を抜き取ったあとの処置は、お子様の年齢や下に控えている永久歯の状態によって変わります。
永久歯に生え代わるまでしばらく期間が空くようであれば、保隙(ほげき)という、永久歯が生えてくる隙間を維持する処置を施します。
永久歯に生え代わるまでの期間がそれほど長くない場合は、何もせずに様子を見ることもあるでしょう。その点は主治医と相談しながら決めていくことになります。
④ 当院の小児歯科・口腔外科の特徴|お子さまも安心して通えるサポート体制

お子さまの歯科治療は、大人以上に配慮が必要です。
東デンタルクリニックでは、お子さまが「歯医者さんは怖くない」「また行きたい」と思えるよう、心身の負担を最小限に抑えた診療体制を整えています。
特に、外傷による前歯の変色や神経損傷など、専門的な対応が必要なケースにも万全のサポートを行っています。
1. お子さまの心に寄り添う診療方針
小さな頃の「歯科体験」は、その後の通院習慣に大きな影響を与えます。当院では、診療チェアに座ることからスタートし、慣れるまで無理に治療は行いません。
まずは診療室の雰囲気に慣れ、器具に触れてもらうなど段階的なアプローチで恐怖心を和らげます。
2. 痛みや不安を最小限にする先進的な治療技術
・表面麻酔と極細針によるほぼ無痛の麻酔処置
注射の痛みを感じにくくするため、表面麻酔で歯ぐきを麻痺させたうえで、極細の針を使用しています。痛みを最小限に抑えた処置で、お子さまが恐怖心を抱かずに治療を受けられるよう配慮しています。
・歯をなるべく削らない低侵襲治療
ダイアグノデントなどの先進機器を活用し、むし歯の進行度を正確に診断。必要以上に歯を削ることはせず、歯の寿命をできる限り延ばす治療を心がけています。
・音と振動が少ない器具で恐怖心を軽減
歯を削る際の「キーン」という不快な音や振動は、特にお子さまにとって大きなストレスとなります。当院では、5倍速コントラと呼ばれる静音性の高い器具を使用し、不安感を与えない環境づくりを徹底しています。
3. 外傷による前歯の変色・神経損傷にも専門的に対応
お子さまの歯の外傷は、目に見える変色だけでなく、歯の内部にダメージが及んでいることがあります。
見た目に問題がなくても、将来的に歯の変色や噛み合わせの不調、永久歯の発育に悪影響を与えることがあるため、口腔外科の視点から適切な診断と経過観察を行っています。
4. 長期的なフォロー体制と成長に合わせた治療計画
お子さまの成長に伴う歯の変化に合わせ、予防・治療・経過観察を一貫して行える体制を整えています。
特に、外傷後の経過観察では、将来的な歯並びや噛み合わせへの影響も視野に入れた診療を行い、必要に応じて矯正治療のご提案もいたします。
5. 保護者様への丁寧でわかりやすい説明
お子さまの症状や治療方針について、専門用語を使わず、写真や図を交えながら丁寧にご説明します。
将来のリスクや治療にかかる費用、保険適用範囲など、保護者様の不安を解消できるよう、どんな小さな疑問にも親身に対応いたします。
⑤ よくある質問

Q1. 前歯が黒く変色していますが、痛みはありません。このまま様子を見ても大丈夫ですか?
A:痛みがない場合でも、歯の内部では神経がすでに死んでいる可能性があります。この状態を放置すると、歯の根元に膿がたまる「根尖病変」や、将来的に永久歯への悪影響が出る恐れがあります。変色が見られた場合は、なるべく早めに歯科医院でレントゲン検査など精密な診断を受けましょう。
Q2. 黒く変色した乳歯は必ず抜かないといけないのですか?
A:変色しているからといって、すぐに抜歯が必要になるわけではありません。乳歯は永久歯が正しい位置に生えるための「ガイド」の役割を担っています。そのため、できる限り残す方針で経過観察を行います。ただし、炎症や感染が進行している場合は、周囲の組織への悪影響を防ぐために抜歯を検討するケースもあります。
Q3. 治療費はどのくらいかかりますか?保険は適用されますか?
A:乳歯の外傷による診察や治療は、ほとんどのケースで健康保険が適用されます。治療内容によって自己負担額は異なりますが、初診時に詳しいお見積りをお伝えし、十分にご理解いただいたうえで治療を進めております。気になる場合は、遠慮なくご相談ください。
Q4. 永久歯への影響が心配です。何に気を付ければいいでしょうか?
A:外傷による乳歯の損傷は、すぐに永久歯に影響が出るわけではありません。しかし、放置すると生え変わりの時期に歯の位置異常や形態異常、エナメル質形成不全などが起こるリスクがあります。定期的な経過観察で成長に合わせた対応を行うことが大切です。当院では、必要に応じて矯正専門医と連携した治療計画をご提案いたします。
Q5. 受診するタイミングはいつが良いですか?応急処置は必要ですか?
A:歯をぶつけた直後は、目立った異常がなくても48時間以内に一度ご相談いただくことをおすすめしています。初期の段階で適切な診断を行うことで、将来のトラブルを未然に防げます。出血や歯のぐらつき、歯の位置ズレがある場合は、すぐに受診してください。また、ご自宅での応急処置としては、出血している場合は清潔なガーゼで圧迫止血を行い、氷嚢などで患部を冷やすと腫れを抑えられます。
⑥ まとめ

今回は、子供が前歯をぶつけて黒くなった場合の理由や応急処置、治療する方法について解説しました。
外傷による前歯の変色がピンクや黄色であれば一時的な症状にとどまる可能性もありますが、黒い場合は歯の神経が死んでいる可能性が高いことから、まずは歯科医院で診てもらいましょう。
前歯の黒い変色に対しては、経過観察、根管治療、抜歯といった治療の選択肢が用意されています。
どれになるかは診察を受けてみなければわかりません。
いずれにしても子供の歯が黒く変色したら、放置はせずに専門家の意見を求めることが大切です。