【医師監修】ナイトガードの効果は?どんな人に必要?
歯科治療では、ナイトガードと呼ばれる装置を使うことがあります。
一般的な虫歯治療や歯周病治療で使う機会がないため、ナイトガードにはどんな効果があるのか、また、どのような人に必要となるのかなど、疑問に思う点が多いかと思います。そこで今回は、ナイトガードの効果や使用が推奨される人、ナイトガードの種類と選び方についてわかりやすく解説します。
目次
① ナイトガードの効果

ナイトガードとは、眠っている時に装着する樹脂製のマウスピースです。歯科医院では、歯型取りを行って患者様それぞれのお口に合ったナイトガードを作ります。そんなナイトガードには、以下に挙げる3つの効果が期待できます。
1. 歯ぎしりの有無をチェック
歯ぎしりや食いしばりといった悪習癖は、無意識のうちに行っていることが多く、患者様が自覚していないケースも多々あります。とりわけ就寝中の歯ぎしりは、一緒に眠っているパートナーやご家族から指摘を受けない限り、自覚するのは困難でしょう。
そこで有用なのがナイトガードです。
歯ぎしりや食いしばりの習慣がある場合は、就寝中に装着しているナイトガードに摩耗や傷が生じます。重度の歯ぎしりでは、ナイトガードの摩耗も急速に進行していくことでしょう。これによって患者様が歯ぎしりを自覚できるため、悪習癖の対処や改善へのモチベーションも高まります。同時に、歯科医師も患者様の歯ぎしりの程度や性質を評価することが可能となります。
2. 歯を保護することができる
ナイトガードに期待できる最も大きな効果は、歯の保護です。歯ぎしりや食いしばりは、無意識下で行われる習癖であることから、力のコントロールができません。標準的な成人男性であれば、100kg以上の圧力が歯にかかるといわれています。
それが毎日、長時間続くわけですから、歯ぎしりによって歯が摩耗することはもちろんのこと、歯冠が欠けたり、歯根が割れたりするトラブルも十分に起こり得ます。就寝中にナイトガードを装着すれば、歯を保護(ガード)することができ、不要なトラブルを防げます。
3. 顎にかかる負担を軽減できる
歯ぎしりや食いしばりによって大きな圧力、負担がかかるのは歯だけではありません。噛む時の支点となる顎関節には、歯ぎしりによって極めて大きな力がかかります。その結果、顎関節症を発症する方もたくさんいらっしゃいます。つまり、睡眠時にナイトガードを装着することで、顎関節症を予防しやすくなるのです。
② ナイトガードの使用が推奨される人

ナイトガードは、次に挙げるような人におすすめできます。
1. 歯ぎしりや食いしばりが習慣化している方
歯ぎしりや食いしばりが習慣化していて、歯が痛い、顎が痛い、睡眠中のギリギリという音を指摘されるなどの悩みを抱えている方は、ナイトガードの使用を検討しましょう。こうした問題がナイトガードを使うことですぐに解決するわけではありませんが、徐々に改善することは可能です。
2. 顎関節症の症状がある方
顎関節症では、口を開けにくい、口を開けると痛みが出る、口を開け閉めするとカクカク・ジャリジャリといった雑音が鳴るなどの症状が現れます。これらはナイトガードでかみ合わせを安定化させ、顎関節への負担を軽減することで改善するケースが多いです。
③ ナイトガードの種類と選び方

ナイトガードの種類と選び方を解説します。
1. 歯科医院で作るものと市販されているもの
ナイトガードの種類は、歯科医院で作るカスタムメイドと市販品であるオフザシェルフの2つに大きく分けることができます。カスタムメイドのナイトガードは、当然ですが患者様それぞれのお口の状態に合った形態となり、現在、困っている症状を改善しやすいというメリットがあります。
そのため歯ぎしりや顎関節症による症状を医学的な観点からきちんと治したいという方には、カスタムメイドのナイトガードが推奨されます。ナイトガードにお金や時間、手間などをかけたくない方には、オフザシェルフが第一選択となりますが、お口にぴったり合わない、ケースによっては予期せぬ副作用が生じるなど、デメリットが多い点に注意する必要があります。
2. 硬質と軟質
ナイトガードの種類は、使用する素材によっても2つに分けることが可能です。具体的には、硬めのプラスチックで作られた硬質とシリコーンなどのやわらかい素材で作られた軟質の2つがあります。
硬質は、歯ぎしり・食いしばりの症状が強く、歯のすり減りも大きいケースに適しており、軽度の症例には軟質が適しているといえます。両者には他にも手入れのしやすさや耐久性、快適性などに違いが見られるため、どちらを選ぶかは歯科医師と相談する必要があります。
④ 当院の特徴:根本原因へのアプローチと予防歯科の観点

ナイトガードは歯ぎしりや食いしばりによるダメージから歯や顎を守るための、非常に有効な「対症療法」です。
しかし、当院ではその場しのぎの治療で終わらせるのではなく、なぜ歯ぎしりや食いしばりが起きているのかという「根本原因」を探り、解決に導くことを重視しています。
1. 矯正治療による、かみ合わせの改善
歯ぎしりや顎関節症の一因として、「かみ合わせの悪さ(不正咬合)」が挙げられます。歯並びが乱れていると、噛んだ時に特定の歯や顎関節に過剰な負担がかかり、無意識のうちにそれを解消しようとして歯ぎしりを引き起こすことがあります。
当院では、お子さんから大人まで対応可能な矯正治療をご提供しています。目立ちにくいマウスピース矯正(インビザライン・ギコウアライナー)や、幅広い症例に対応できるワイヤー矯正など、患者様一人ひとりの歯並びの状態やライフスタイルに合わせた治療法をご提案。
矯正治療によってバランスの取れたかみ合わせを実現することは、歯ぎしりや食いしばりの根本的な原因を取り除き、長期的なお口の健康を守る上で極めて重要です。ナイトガードで症状を緩和しつつ、並行して矯正治療を進めることで、顎関節症の予防や補助治療にも繋がります。
2. 予防歯科を基盤としたトータルケア
ナイトガードの最大の目的は、歯の摩耗や破折、顎への負担といった「将来起こりうるトラブルを防ぐ」ことにあります。これは、当院が最も大切にしている「予防歯科」の考え方そのものです。
むし歯や歯周病と同じように、歯ぎしりの兆候も自覚症状がないまま進行しているケースが少なくありません。当院では定期検診の際に、歯のすり減り具合や、詰め物・被せ物の不自然な傷、顎の状態などを細かくチェックし、歯ぎしりの早期発見に努めています。
もし兆候が見られた場合は、ナイトガードの作製はもちろん、ご自宅でのセルフケアの質を高めるためのブラッシング指導や、専門的なクリーニング(PMTC)によって、歯ぎしりの影響を受けやすい歯をより健康な状態に保つお手伝いをします。お口全体の健康を守り育てること。それが、当院の目指す治療です。
⑤ よくある質問

Q1. ナイトガードをしていれば、歯ぎしりは治りますか?
A1. ナイトガードは歯ぎしりそのものを「治す」ものではなく、歯ぎしりによって起こる歯のすり減りや破折、顎関節への負担を「軽減・予防」するための装置です。いわば、歯と顎を守るプロテクターの役割を果たします。
歯ぎしりの根本的な原因は、ストレスや飲酒・喫煙などの生活習慣、そしてかみ合わせの問題など多岐にわたります。当院では、ナイトガードによる対症療法と並行して、原因に合わせたアプローチ(矯正治療のご提案など)も行っています。
Q2. 定期検診で、歯ぎしりをしているか分かりますか?
A2. はい、分かる可能性は非常に高いです。ご自身では気づきにくい就寝中の歯ぎしりも、お口の中には様々なサインとして現れます。例えば、「年齢に不相応な歯のすり減り」「歯の根元近くの楔(くさび)状の欠損」「頬の内側や舌に見られる圧痕(歯を押し付けた跡)」「詰め物や被せ物の頻繁な脱離や破損」などです。当院では、定期検診の際にこうしたサインを見逃さず、早期発見・早期対応に繋げています。
Q3. 歯並びが悪いと、歯ぎしりしやすくなりますか?
A3. 必ずしも全員に当てはまるわけではありませんが、歯並びの乱れは歯ぎしりのリスクを高める要因の一つと考えられています。出っ歯や受け口、歯がガタガタに生えている叢生(そうせい)など、かみ合わせが安定しない状態だと、顎の位置が定まらず、周辺の筋肉が過度に緊張しやすくなります。この緊張が、夜間の無意識な歯ぎしりや食いしばりに繋がることがあります。矯正治療でかみ合わせを整えることは、顎や筋肉の負担を軽減し、歯ぎしりの緩和に繋がる可能性があります。
Q4. ナイトガードのお手入れはどのようにすればよいですか?
A4. 毎日清潔に保つことが大切です。起床後にナイトガードを外したら、指や柔らかい歯ブラシを使って流水で優しく洗浄してください。熱いお湯は変形の原因になるため、必ず水かぬるま湯を使用しましょう。歯磨き粉は研磨剤が含まれており、装置の表面に細かい傷をつけて細菌の温床となりやすいため、使用は避けてください。汚れや臭いが気になる場合は、専用の洗浄剤に浸け置きするのも効果的です。保管する際は、十分に乾燥させてから専用のケースに入れましょう。
⑥まとめ

今回は、ナイトガードの効果や必要となる方について解説をしました。マウスピース型の装置であるナイトガードは、歯ぎしりの有無のチェックや歯の保護、顎関節への負担軽減といった効果が期待できます。歯ぎしりが習慣化していたり、顎関節症を発症していたりする方に推奨されます。
ひと言でナイトガードといっても歯科医院で作るものと市販品とがあり、さらには硬質と軟質の2つに種類が分けられることから、主治医と相談しながらご自身に合ったものを選択する必要があります。