【医師監修】インプラントは何歳から?若くてもできる?
近年は、若い人でもインプラントを選択する方が増えています。インプラントは、失った歯の治療法として優れた点が多く、若い人ほどメリットを享受しやすい傾向にあるからです。そこで気になるのがインプラントの年齢制限。
インプラントは何歳から受けることができるのか。また、年齢以外にもインプラントが受けられなくなる条件はあるのかなど、気になる点は多いかと思います。
この記事では、インプラントの適応年齢や若年層における治療実績、適応不可となるケースなどをわかりやすく解説します。
目次
① インプラント治療の年齢制限とは

インプラント治療には、厳密な年齢制限はありませんが、臨床的には20歳以上の患者様に適応されます。
なぜなら20歳を超えるまでは、顎の骨の成長が続いていたり、親知らずが生えてきたりするからです。こうした口腔環境の大きな変化はインプラント治療に不利な条件となることから、原則として20歳以上の患者様が対象となります。
もちろん、交通事故や先天性の病気などが原因で、歯や顎に深刻なダメージが及んだ場合は、20歳以下の患者様にインプラント治療を行うこともありますので、絶対的な制限でないことは知っておいてください。ちなみに、インプラント治療の年齢的な上限も存在していませんが、全身の健康状態なども踏まえて、70歳くらいまでが適応範囲となりやすいです。
② 若年層におけるインプラント治療の実態

厚生労働省が令和4年度に行った歯科疾患実態調査の結果によると、インプラント治療を受けた人の割合は、50代以降で最も高くなっており、この点は皆さんのイメージ通りかと思います。
注目すべきは若年層の実績で、30代や40代よりも20代でインプラント治療を受けた患者様の割合が多かったのです。一見すると矛盾したような結果となっていますが、おそらくインプラントの魅力がSNSやテレビなどを通じて、20代という若年層に伝わっているのでしょう。
インプラントが、失った歯を天然歯に近い見た目で回復できることは、20代の方にとって何よりも大きなメリットとなり得ます。同時に、インプラントなら天然歯と同じくらいしっかり噛めて、顎の骨も痩せにくいことから、若い人ほど多くの恩恵が得られるようになっているのです。こうしたインプラントの魅力が広く伝わることで、今後は20代だけでなく、30代、40代といった年齢層でも失った歯の治療法として選ばれやすくなるものと考えられます。
③ インプラント治療を受けられないケース

上段でも解説した通り、インプラント治療に原則的な年齢制限はありませんが、臨床的には20~70歳くらいまでが対象となりやすいです。
つまり、インプラントの年齢制限の下限は20歳、上限は70~80歳といえます。こうした臨床的な年齢制限は、インプラント治療が受けられないケースがあることから設けられています。その理由は以下の通りです。
1. 若年層の年齢制限について(インプラントが適応外となるケース)
インプラントは、見た目や噛み心地、装置の構造も天然歯に近い設計となっていますが、あくまで人工物であることを忘れてはいけません。
とりわけ重要なのは、インプラントには歯根膜が存在していない点です。天然歯の根っこの周りには歯根膜という血管や神経、コラーゲンなどからなる組織が分布していて、顎の骨と歯をつないでいます。一方、インプラントはチタン製の人工歯根が顎の骨と直接、結合していることから、一度埋めると動かすことができなくなります。
つまり、若年層の場合は顎の骨や歯の発育が途上にあることから、人工物であるインプラントがその妨げとなりかねないのです。具体的にはインプラントが邪魔になって顎の骨が十分に発育しなかったり、歯並びやかみ合わせを悪くしたりするおそれがあるので、20歳未満の若年層は入れ歯やブリッジが第一選択となりやすいです。
2. 高齢層の年齢制限について(インプラントが適応外となるケース)
高齢になると、高血圧症や心疾患、糖尿病などの基礎疾患を持つ方が多くなります。骨密度が低下する骨そしょう症や顎の骨が破壊される歯周病を発症している方も少なくありません。
これらはインプラントを埋入する手術を困難にするだけでなく、人工歯根の顎への固定も不安定となることから、インプラント治療の適応外と診断されやすいです。とりわけ70歳以上になるとその傾向が強まることから、臨床的には70歳くらいまでがインプラント治療を安全に実施できる年齢制限と考える傾向にあります。
ただし、高齢層の健康状態は個人差が大きく、80歳になっても全身に何ら問題がなく、インプラント治療も安全に行えるというケースは存在しています。
④ 当院のインプラント治療の特徴

失った歯を補うための選択肢はいくつかありますが、インプラント治療は機能性・審美性ともに非常に優れた治療法です。しかし、外科手術を伴うため、歯科医院選びは慎重に行いたいとお考えの方も多いでしょう。
当院では、患者様に安心して治療を受けていただけるよう、精密な診断と安全性の追求に一切の妥協をせず、お一人おひとりに寄り添ったインプラント治療をご提供しています。
1. 歯科用CTによる精密診断と安全性へのこだわり
インプラント治療の成功は、術前の診断と計画がいかに正確であるかにかかっています。当院では、三次元的にお口の中を撮影できる「歯科用CT」を導入しています。
これにより、レントゲンでは確認できない顎の骨の厚みや密度、神経や血管の位置関係を立体的に、そして詳細に把握することが可能です。 この精密なデータがあるからこそ、インプラントを埋め込むのに最も安全で最適な位置、角度、深さをミリ単位で計画することができます。
患者様の大切な身体への負担を最小限に抑え、治療の安全性を格段に高めるための、当院のこだわりの一つです。
2. サージカルガイドを用いた、計画通りで誤差の少ない手術
CTでどれだけ精密な計画を立てても、実際の手術でその計画を寸分の狂いなく再現するには、高度な技術と経験が求められます。
当院では、その精度をさらに高めるために「サージカルガイド」を使用しています。 サージカルガイドとは、CTデータとシミュレーションソフトを基に作製される、オーダーメイドの手術用マウスピースのようなものです。インプラントを埋め込む位置や角度が正確にガイドされるため、フリーハンドの手術に比べて人為的なエラーのリスクを大幅に低減できます。
これにより、計画通りの位置にインプラントを埋入でき、神経や血管を傷つけるといった偶発症のリスクを限りなくゼロに近づけることが可能です。
3. 日本人の骨格に合わせたインプラントシステムの採用
インプラントには世界中に多くのメーカーがありますが、当院ではアジア人の骨格に合わせて設計された「オステムインプラントシステム」を採用しています。
日本人を含むアジア人は、欧米人と比べて顎の骨が薄く、小さい傾向にあります。オステムインプラントは、そのような日本人の顎の特性を考慮して開発されているため、限られた骨の量でも最大限の安定性を確保しやすいという利点があります。
また、骨との結合を促進させる特殊な表面処理(SA surface)が施されており、治療期間の短縮と長期的な安定性の向上が期待できます。
4. 骨が少ない難症例にも対応する骨造成治療
「インプラントをしたいけれど、骨が少ないから無理だと言われた」という方もいらっしゃるかもしれません。
当院では、そのような難症例にも対応するため、骨を増やす「骨造成治療」も行っています。 上顎の骨が不足している場合には「サイナスリフト」や「ソケットリフト」、骨の幅や高さが足りない場合には「GBR法」といった専門的な技術を用いて、インプラントを支えるのに十分な骨の量を確保します。
口腔外科での経験豊富な院長が、患者様一人ひとりの状態を的確に診断し、最適な治療法をご提案いたしますので、諦める前にぜひ一度ご相談ください。
⑤ インプラント治療に関するよくある質問

インプラント治療を検討される患者様からよくいただくご質問にお答えします。
Q1. 手術は痛いですか?腫れますか?
A. 手術中は局所麻酔をしっかりと効かせますので、痛みを感じることはほとんどありません。ご安心ください。 術後は、麻酔が切れると痛みや腫れが出ることがありますが、痛み止めを処方いたしますので、通常は2~3日で落ち着きます。腫れのピークも術後48時間程度で、その後は徐々に引いていきます。抜歯をした時と同じくらいの侵襲だとお考えいただくと分かりやすいかもしれません。当院では、サージカルガイドの使用などにより、できるだけ歯茎の切開範囲を小さくし、患者様への身体的な負担を軽減するよう努めています。
Q2. 治療期間はどのくらいかかりますか?
A. 顎の骨の状態や治療計画によって個人差がありますが、インプラントを埋め込む手術から、最終的な人工歯を装着するまで、一般的には3ヶ月~6ヶ月程度かかります。これは、埋め込んだインプラントが顎の骨としっかりと結合するのを待つ期間(通常2~4ヶ月)が必要なためです。 骨を増やす骨造成治療を併用する場合は、さらに数ヶ月の治癒期間が必要となるため、全体の治療期間は長くなります。詳しいスケジュールについては、カウンセリングの際に個別にご説明いたします。
Q3. インプラントの寿命はどのくらいですか?
A. インプラント自体はチタン製で非常に丈夫なため、虫歯になることはありません。しかし、適切なケアを怠ると、インプラントの周りの歯茎が炎症を起こす「インプラント周囲炎」という病気になるリスクがあります。これは歯周病と似た病気で、進行するとインプラントを支える骨が溶けてしまい、最悪の場合インプラントが抜け落ちてしまうこともあります。 逆に言えば、毎日の丁寧なセルフケアと、歯科医院での定期的なプロフェッショナルケアを継続することで、10年、20年、あるいはそれ以上にわたって半永久的に機能させることが可能です。当院では、治療後のメンテナンスにも力を入れ、患者様の大切なインプラントを長持ちさせるためのサポートをさせていただきます。
Q4. 費用はどのくらいかかりますか?
A. インプラント治療は健康保険が適用されない自費診療となります。費用は、埋め込むインプラントの本数、使用する上部構造(人工歯)の種類、骨造成の有無などによって変動します。 当院での基本的な費用の目安は以下の通りです。(すべて税込)
- インプラント体: 220,000円
- 手術費用(サージカルガイド費用含む): 77,000円
- 上部構造(人工歯): 143,000円
- 合計: 440,000円~/1本あたり ※骨造成が必要な場合は、別途費用(110,000円~)がかかります。 詳細な費用については、精密検査を行った上で、治療計画とともにお見積もりとして明確にご提示いたしますので、ご納得いただいた上で治療を開始できます。
Q5. 誰でもインプラント治療を受けられますか?
A. 基本的には顎の骨の成長が完了する20歳頃から、健康な方であればご高齢の方まで受けていただけます。 ただし、この記事の前半でも解説した通り、顎の骨が成長途中である20歳未満の方や、コントロールされていない重度の糖尿病や高血圧、骨粗しょう症など、全身疾患をお持ちの方は治療が難しい場合があります。また、お口の中の状態として、重度の歯周病にかかっている方や、インプラントを埋め込むための骨の量が極端に不足している方も、すぐには治療を開始できません。 まずは歯周病治療や骨造成を行い、安全にインプラント治療ができる環境を整えることが重要です。ご自身が適応となるかどうかは、まず精密検査を受けていただく必要がありますので、お気軽にご相談ください。
⑥ まとめ

今回は、インプラントは何歳から受けられる?年齢制限はある?という疑問にお答えしました。インプラント治療に厳密な年齢制限は設けられていませんが、臨床的には下限が20歳、上限が70歳程度となっています。
20歳以下は発育途上にあるため、70歳以上は全身状態に問題を抱えている方が多くなることから、インプラントができなくなるケースも少なくありません。とはいえインプラント治療の年齢制限の上限も下限も例外が存在しており、ケースによっては適応可となりえますので、関心のある方は一度、歯科医院に相談することをおすすめします。