【医師監修】歯茎から血が出る原因は?対処法や注意点を解説
歯みがきをしたときに歯茎から血が出た経験はありませんか?
「強く磨きすぎたのかな」
と思う方も多いですが、実は歯茎の出血は歯周病の初期症状であることが少なくありません。
放置すると歯茎の炎症が進み、歯を支える骨にまで影響する場合もあります。
今回は、歯茎から血が出る原因と対処法、そして注意すべきポイントを歯科医の視点からわかりやすく解説します。
目次
歯茎から血が出る原因とその対処法

歯茎からの出血にはさまざまな原因がありますが、多くの場合は歯周病の初期段階(歯肉炎)が関係しています。
ここでは主な原因とその対処法を紹介します。
歯周病(歯肉炎・歯周炎)
歯茎からの出血の最も多い原因は歯周病です。
歯の表面や歯と歯の間にプラーク(歯垢)がたまると、細菌が歯茎に炎症を起こします。
初期の「歯肉炎」では、歯磨きやフロスで軽く刺激しただけで血が出ることがあります。
【対処法】
まずは毎日の歯みがきを丁寧に行い、歯と歯茎の境目をやさしく磨きましょう。
歯科医院でのクリーニングやスケーリング(歯石取り)で歯石を除去することも大切です。
歯石は自分では取れないため、定期的なメインテナンスが欠かせません。
ブラッシングの力が強すぎる
強い力でゴシゴシ磨くと、歯茎を傷つけて出血することがあります。
特に硬い毛の歯ブラシを使用している場合は要注意です。
【対処法】
毛先の柔らかい歯ブラシを使い、軽い力で小刻みに動かす「ペングリップ法」を意識しましょう。
強く磨かなくても、正しい角度でブラシを当てることで汚れは十分に落とせます。
ホルモンバランスや体調の変化
女性では、妊娠中や更年期、月経前などにホルモンバランスの変化で歯茎が腫れやすくなり、出血が見られることがあります。
また、ストレスや睡眠不足、栄養不足なども歯茎の免疫力を下げる要因です。
【対処法】
規則正しい生活とバランスのとれた食事を心がけ、体調を整えることが大切です。
症状が続く場合は、歯科医院で歯周病の進行がないかチェックを受けましょう。
薬の副作用によるもの
一部の薬(血圧の薬や抗凝固薬など)には、歯茎の腫れや出血を起こす副作用があります。
【対処法】
自己判断で薬を中断せず、かかりつけの医師や歯科医に相談しましょう。
薬の種類に応じたケア方法を一緒に考えることが重要です。
歯茎の健康を保つためのポイント

出血の根本的な予防には、毎日のセルフケアと定期的なプロケアが欠かせません。
下のポイントを意識しましょう。
正しい歯みがきを習慣化する
歯ブラシは毛先を歯と歯茎の境目に45度の角度で当て、1本ずつやさしく動かします。
歯ブラシだけでは落としきれない汚れもあるため、デンタルフロスや歯間ブラシを併用しましょう。
生活習慣の見直し
喫煙は歯茎の血流を悪くし、歯周病を悪化させる要因になります。
また、糖分の多い飲食はプラークを増やす原因になるため、間食の回数を控えるなど、食生活の改善も効果的です。
歯科医院での定期検診
歯周病は初期段階では自覚症状がほとんどありません。
3~6か月に一度の定期検診で歯茎の状態をチェックし、歯石除去やクリーニングを受けることにより、健康な歯茎を維持できます。
出血が続く場合の注意点

放置せず、早めの受診を
「歯みがきのときに少し血が出るだけ」と軽く考えて放置すると、歯周病が歯肉炎から歯周炎へ進行してしまうことがあります。
歯周炎が進むと、歯を支える歯槽骨(歯を支える骨)が溶け、歯がぐらつく原因にもなります。
次のような症状がある場合は、自己判断せず早めに歯科医院を受診してください。
- 出血が1週間以上続いている
- 歯茎が赤く腫れている、押すと痛い
- 歯みがき後もねばつきや口臭が強くなる
- 歯が浮いたような感覚がある
- 冷たい水でしみる、痛む
これらは歯周病が進行しているサインの可能性があります。
早期の段階であれば、歯石除去やブラッシング指導などの簡単な治療で改善することも多く、早めの受診が何より大切です。
全身疾患のサインにも注意
歯茎の出血が長期間続く場合、口腔内の問題だけでなく全身の病気が関係しているケースもあります。
特に、以下のような疾患が背景にあることが知られています。
糖尿病
血糖値が高い状態が続くと、歯茎の免疫機能が低下して炎症が起きやすくなります。
血液の病気(白血病・血友病など)
血液が固まりにくい、免疫が弱まるなどの影響で、歯茎の出血や腫れが長引くことがあります。
薬の影響
降圧薬・抗血小板薬・抗凝固薬などを服用している場合、歯茎の出血や腫れが副作用として現れることがあります。
出血が止まらない、体の他の部位にもあざや出血が見られる場合は、歯科だけでなく内科での検査も受けることをおすすめします。
歯科医は口腔内の変化から全身疾患のサインを見つけることもあります。
気になる症状があれば、遠慮せず相談してください。
自己流のケアで悪化させない
出血があるからといって、歯みがきをやめてしまうのは逆効果です。
プラークが残ると炎症が悪化し、さらに出血が増える悪循環になります。
痛みがある場合でも、やわらかい毛の歯ブラシを使い、歯茎をなでるように優しくブラッシングを続けましょう。
また、市販のうがい薬だけに頼るのではなく、原因を見極めた上での専門的な治療を受けることが、再発を防ぐ近道です。
当院の歯周病治療・予防歯科の特徴

当院では、「歯茎からの出血」を単なる症状としてではなく、全身の健康に関わる重要なサインと捉えています。
患者様が生涯ご自身の歯で食事を楽しめるよう、以下の4つのこだわりを持って治療と予防に取り組んでいます。
1. 担当歯科衛生士による「二人三脚」のケア
歯周病治療の主役は、実は歯科医師ではなく歯科衛生士と患者様ご自身です。
当院では、患者様のお口の状態を継続的に把握するため、担当の歯科衛生士がつく体制を整えています。
毎回同じスタッフが担当することで、「前回より出血が減りましたね」「磨き方のクセが改善されています」といった細かな変化に気づくことができ、患者様一人ひとりに合わせた最適なアドバイスが可能になります。
2. 「痛くない・怖くない」丁寧なクリーニング
「歯石取りは痛いから苦手」という方は少なくありません。
当院では、患者様の負担を最小限に抑えるため、痛みに配慮した丁寧な施術を心がけています。 炎症が強く痛みが出やすい箇所には、無理に器具を当てず、まずは腫れを引かせる処置から始めるなど、段階を踏んで進めます。
どうしても痛みが不安な場合には、麻酔を使用することも可能ですので、遠慮なくお申し付けください。
3.「なぜ出血するのか?」根本原因の徹底解明
歯周病の原因はプラーク(細菌)ですが、それを悪化させる要因は人それぞれです。
- 歯並びが悪く、ブラシが届かない場所がある
- 古い詰め物が合わず、段差に汚れが溜まっている
- 食いしばりや歯ぎしりが歯茎に負担をかけている
当院では、単にクリーニングをするだけでなく、レントゲン撮影や咬合(噛み合わせ)チェックを行い、出血を繰り返さないための根本的な原因解決をご提案します。
4. 徹底した「見える化」とわかりやすい説明
「何をされているかわからない」という不安をなくすため、治療前後の変化をしっかりと共有します。
口腔内カメラやモニターを使用し、実際の歯茎の状態や磨き残しの場所を一緒にご確認いただきます。
「出血の原因」と「今日行う処置」、そして「今後の治療計画」を明確にお伝えし、納得していただいてから治療を進めます。
歯茎の出血・歯周病に関するよくある質問

歯茎のトラブルに関して、患者様から診療室でよくいただくご質問をまとめました。
Q1. 歯磨きで血が出るときは、磨くのを控えたほうがいいですか?
A. いいえ、優しく磨き続けてください。
出血があるからといって歯磨きをやめてしまうと、原因であるプラーク(汚れ)が残り続け、炎症がさらに悪化してしまいます。
出血は「ここに汚れが溜まって炎症が起きている」というサインです。
ゴシゴシと強く磨く必要はありませんが、柔らかめの歯ブラシを使い、出血している部分こそ優しく丁寧にマッサージするように磨いて、汚れを落とすことが治癒への近道です。
Q2. 市販のうがい薬(洗口液)だけで歯周病は治りますか?
A. うがい薬だけでは治りません。
殺菌成分入りのうがい薬は、お口の中の細菌を減らす補助的な効果はありますが、歯の表面にこびりついたプラークや、石のように固まった「歯石」を取り除くことはできません。
歯石は細菌の温床となるため、歯科医院で物理的に除去(スケーリング)する必要があります。
うがい薬は、正しいブラッシングとプロケアを行った上での「仕上げ」として活用しましょう。
Q3. 歯周病は家族やパートナーにうつりますか?
A. はい、感染する可能性があります。
歯周病は細菌感染症(感染症)の一種です。唾液を介して人から人へ感染するため、スプーンや箸の共有、口移し、キスなどで、ご家族やパートナーに歯周病菌が移ることがあります。
特に小さなお子様への口移しなどは注意が必要です。
家族全員でお口の健康を守るためにも、パートナーやお子様と一緒に定期検診を受けることをおすすめします。
Q4. 若いから歯周病にはならないですよね?
A. 決してそうとは言い切れません。
歯周病は中高年の病気というイメージがありますが、実は20代・30代でも約7割の方が歯肉炎などの徴候を持っていると言われています。
また、10代でもホルモンバランスの変化や受験勉強などのストレス、不規則な生活によって「若年性歯周炎」を発症するケースがあります。
年齢に関わらず、「出血」や「口臭」などのサインがあれば、早めの受診が大切です。
Q5. 治療期間はどのくらいかかりますか?
A. 進行度合いによって異なりますが、数ヶ月かかることもあります。
軽度の歯肉炎であれば、数回のクリーニングとご自宅でのケア改善により、短期間で治まることが多いです。
しかし、歯石が歯茎の奥深く(歯周ポケットの深部)まで溜まっている中等度~重度の場合は、ブロックごとに分けて少しずつ歯石を除去していく必要があるため、治療期間は長くなります。
また、治療が終わった後も再発を防ぐために、3~4ヶ月に一度の定期メンテナンス(予防歯科)に通っていただくことが、歯を残すための最善の方法です。
まとめ

歯茎からの出血は、歯周病のサインであることが多く、放置は禁物です。
強すぎる歯みがきや生活習慣の乱れも原因となるため、正しいケアを続けることが大切です。
出血が長引く、腫れや痛みを伴う場合は、早めに歯科医院で診察を受けましょう。
歯茎の健康を守ることは、歯を長く残す第一歩です。