歯茎が下がる原因と治療法|見た目や健康への影響と適切な対処法
「最近、歯が長くなったような気がする」
「歯茎が痩せてきた感じがする」
――こうした症状は、歯茎が後退する「歯肉退縮」のサインかもしれません。
歯茎が下がる原因は、歯周病だけでなく、生活習慣や加齢、誤ったブラッシング方法などさまざまです。
放置すると、見た目の変化だけでなく、知覚過敏や虫歯、最悪の場合は歯が抜けてしまうリスクも高まります。
この記事では、歯茎が下がる原因やリスク、東デンタルクリニックでの具体的な治療法、よくあるご質問について詳しくご紹介します。
「もしかして歯周病かも…」と感じている方はもちろん、「まだ歯医者に行くほどではない」とお考えの方にも、ぜひ最後までご覧いただきたい内容です。
目次
- 歯茎が下がるのはなぜ?考えられる主な原因
- 歯茎が下がるとどうなる?見た目・症状・放置リスク
- 歯茎が下がった場合の対処法
- 歯茎が下がる原因と治療法への当院の特徴
- 歯茎が下がったときのよくある質問
- まとめ
① 歯茎が下がるのはなぜ?考えられる主な原因

歯茎が下がる主な原因としては、以下の5つが挙げられます。
1. 歯周病による歯肉退縮
細菌感染症である歯周病では、細菌が産生する毒素の影響や炎症反応が続くことで、歯茎が下がる「歯肉退縮」が起こります。
2. タバコの煙による影響
タバコの煙には、歯茎の血流を悪くしたり、歯面への汚れの付着を促進したりする作用があります。これらは歯周病のリスクを上昇させるため、歯茎が下がる原因にもなりえます。
3. ホルモンバランスの乱れ
女性ホルモンには、歯周病菌の好物となるものがあります。その分泌量が多くなりやすい思春期や妊娠期は、歯周病リスクが増大し、歯茎が下がる症状も起こりやすくなります。
4. 強圧でのブラッシング
硬い歯ブラシでゴシゴシとブラッシングしていると、歯茎に過剰な負担がかかって歯肉退縮を引き起こすことがあります。
5. 歯ぎしりや食いしばりなどの悪習癖
歯ぎしりや食いしばりは、歯だけでなく、歯茎にも大きなダメージを与えます。その結果、歯茎に炎症が起こり、歯肉退縮を誘発することもあります。
② 歯茎が下がるとどうなる?見た目・症状・放置リスク

歯周病や喫煙習慣、歯ぎしり・食いしばりなどで歯茎が下がると、実際にどのようなデメリットが生じるのかも気になるところです。
1. 見た目が悪くなる
歯茎が下がると、歯が伸びたように見えます。これは歯列全体のバランスを乱すだけでなく、一般的には老けた印象を与えるようになるのです。
2. 冷たいものがしみるようになる
歯茎が下がった部分には、エナメル質が分布しておらず、象牙質がむき出しとなります。象牙質はエナメル質よりも外からの刺激を受けやすいことから、冷たい飲み物や食べ物、風などがキーンとしみる知覚過敏が起こりやすくなります。
3. 虫歯になりやすく、進行も早い
歯肉退縮によって露出した象牙質は、酸性の刺激にも弱いです。虫歯菌が作り出す酸によって歯質が溶けやすくなり、虫歯になるとその進行も早くなる点に注意が必要です。
4. 歯の動揺度が増して不安定になる
歯茎は、歯を支えるための組織です。その歯茎が歯周病や不適切なブラッシング、歯ぎしりなどで下がると、歯を支える力が弱まります。また、こうした歯肉退縮には、顎の骨である歯槽骨の吸収も伴うことが多く、歯茎が下がる症状が重症化すると歯がグラグラ動揺するようになる可能性も否定できません。最終的には、歯そのものが抜け落ちるというリスクも伴います。
このように、歯茎が下がる症状を放置していると、皆さんが考えている異常に深刻なデメリットやリスクが生じるため、歯肉退縮が認められたらまずは歯科医院に相談しましょう。歯科医院では、下がった歯茎の治療を受けることができます。
③ 歯茎が下がった場合の対処法

下がった歯茎の治療法としては、以下の4つが挙げられます。
1. 歯周基本治療
歯周病が原因で歯茎が下がった場合は、歯周病の基本治療を受ける必要があります。外からでも見える部分の歯石を取り除く「スケーリング」、歯周ポケットの中の歯石を除去する「SRP(スケーリングルートプレーニング)」、歯のクリーニングなどを行って、歯茎に炎症をもたらしている歯周病菌の数を減らします。歯茎が下がった症状が軽度であれば、この方法である程度の改善が見込めます。
2. フラップ手術
SRPでも対応できないような深い歯周ポケットが形成されたケースでは、歯茎をメスで切開して、歯根面や顎の骨に付着している歯石、炎症性物質、汚染された組織などを取り除くフラップ手術を行います。その結果、歯茎が下がる症状を止めることが可能となりますが、一度、破壊された歯周組織は元に戻せません。
3. 歯周組織再生療法
歯周病や外傷などで大きく下がった歯茎や歯槽骨は、歯周組織再生療法で回復できることがあります。患部に骨補填材などを設置して、組織の生成をはかります。
4. 遊離歯肉移植術
患者様のお口の天井部分から口腔粘膜を採取して、歯茎が下がった部分に移植する治療法です。下がった歯茎を根本から改善する方法としては、その他にも結合組織移植術、歯肉弁側方移動術、歯肉弁歯冠側移動術などが挙げられます。
④ 歯茎が下がる原因と治療法への当院の特徴

1. 歯茎が下がる主な原因
歯周病による歯槽骨の吸収(最も多い原因)
歯周病は、歯を支える骨(歯槽骨)を少しずつ溶かしていく病気です。骨が失われると、その上にある歯茎は自然と下がり、歯が長く見えるようになります。進行すると歯がグラつき、最終的には抜け落ちるリスクも。特に初期は痛みが少ないため、「気づいたときにはかなり進行していた」というケースも少なくありません。
誤ったブラッシング習慣(過度な力や硬い歯ブラシ)
「しっかり磨いているつもり」が、かえって歯茎にダメージを与えていることがあります。硬すぎる歯ブラシや強すぎる力で磨くことで、物理的に歯肉が削れ、下がってしまうのです。また、間違った磨き方は歯の表面(エナメル質)を傷つける原因にもなります。
歯ぎしり・食いしばりによる負担
無意識に行ってしまう歯ぎしりや食いしばりは、歯や歯茎に過剰な力をかけ続けるため、歯茎の後退を招きやすくなります。歯にヒビが入ったり、歯周組織への慢性的なダメージにより歯槽骨が吸収されるなど、見た目だけでなく歯の寿命そのものを縮める原因にもなります。
加齢による自然な変化
年齢を重ねると、代謝や細胞の再生能力が低下することで歯茎も痩せていきます。これは自然な現象ですが、適切なケアを行わないと進行はさらに早まります。定期的なメンテナンスで、老化による歯茎の退縮を最小限に抑えることが大切です。
生活習慣の乱れ・ホルモンバランスの影響
喫煙やストレス、偏った食生活は、お口の中の環境悪化を招きます。特に喫煙は歯茎の血流を悪化させ、歯周組織の再生能力を著しく低下させます。また、妊娠や更年期などのホルモンバランスの変化も、歯茎を弱らせる要因です。これらの生活習慣は、歯茎の健康だけでなく全身疾患のリスクも高めるため注意が必要です。
2. 当院の治療の特徴
精密な診査・診断で原因を正確に特定
- 目に見える歯茎の状態だけでなく、歯周ポケットの深さ測定やレントゲンによる骨の吸収状態まで詳細にチェックします。
- 噛み合わせや歯並び、詰め物・被せ物の状態、過去の治療歴まで総合的に評価。隠れたリスクを見逃さず、再発防止につながる治療計画を立てます。
原因に合わせたオーダーメイド治療で再発を徹底予防
- 歯周病が原因の場合
・スケーリング・ルートプレーニング(SRP)で歯垢・歯石を徹底的に除去。
・中等度以上の進行がある場合は、歯周組織再生療法などの高度な治療もご提案します。 - ブラッシングが原因の場合
・患者様一人ひとりのお口の状態に合わせた最適な歯ブラシや清掃器具の選び方を指導。
・磨き残しやすい箇所、強く磨きすぎている箇所を丁寧にアドバイスし、日常ケアの質を向上させます。 - 歯ぎしり・噛み合わせが原因の場合
・オーダーメイドのナイトガード(マウスピース)を作製し、就寝中の歯ぎしりによるダメージを予防。
・必要に応じて、噛み合わせ調整や咬合治療も実施し、長期的な改善を図ります。
予防メンテナンスで再発リスクを徹底管理
- 定期的なPMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)により、自宅ケアでは除去できないバイオフィルムや着色汚れを徹底除去。
- メンテナンスの際は、単なるクリーニングだけでなく、生活習慣やお口のクセなども含めたアドバイスを実施。
- 患者様ごとのリスクに応じた定期検診間隔(3〜6ヶ月)をご提案し、「再発させない」ことを重視した長期的な口腔管理を行っています。
⑤ 歯茎が下がったときのよくある質問

気になり始めた方にこそ読んでほしい「よくある不安とその答え」です。
Q1. 歯茎は元に戻せますか?
A:完全に自然な状態に戻すのは難しい場合もありますが、進行を止めたり、審美的・機能的に改善することは可能です。
歯茎が下がると、歯槽骨や歯肉がすでに減少していることが多く、自然に元に戻ることはほとんどありません。しかし、早期であれば正しいブラッシングや歯科医院での適切な処置によって進行を食い止め、見た目や症状の改善が期待できます。
重度の場合は、以下のような外科的なアプローチも検討されます。
- 歯周組織再生療法:失われた歯槽骨や歯周組織の再生を促す治療法。
- 歯肉移植術:他部位から健康な歯肉を移植して、露出した歯根部を覆う方法。
どちらの方法も、患者様のお口の状態に合わせてご提案いたします。まずは現状を正確に診断することが大切です。
Q2. 自分でケアすれば治せますか?
A:ご自宅でのケアは非常に重要ですが、歯周病が原因で下がった歯茎は、セルフケアだけでは元に戻すことはできません。
歯周病による歯茎の後退は、すでに歯槽骨や歯周組織がダメージを受けている状態です。この場合、専門的なクリーニング(スケーリング・ルートプレーニング)で細菌や歯石を徹底的に除去し、歯茎の炎症を改善することが必要です。
その上で、歯科医院で指導を受けた正しいブラッシング方法や補助器具(デンタルフロス・歯間ブラシなど)を用いたセルフケアを継続することで、進行を食い止め、再発予防に繋がります。
ポイント:治療とセルフケアはどちらか一方ではなく、両方を組み合わせてはじめて効果が現れます。
Q3. 治療は痛いですか?
A:当院では、患者様の不安や痛みに配慮した治療を徹底しています。必要に応じて麻酔を使用し、できるだけ痛みを抑えた処置を行います。
歯茎の状態や治療内容によっては、多少の違和感を感じることもありますが、多くの患者様は「思ったよりも痛くなかった」とおっしゃいます。特に、最新の超音波スケーラーや極細の治療器具を用いることで、身体への負担を最小限に抑えた低侵襲な治療を心がけています。
また、治療中に痛みや不安を感じた場合は、遠慮なくスタッフにお申し付けください。その都度、適切に対応いたします。
Q4. 保険は適用されますか?
A:はい、歯周病治療の基本的な処置は健康保険の適用範囲内で受けられます。ただし、再生療法や審美目的の処置は自費診療となる場合があります。
【保険適用の例】
- 歯周病の基本検査(歯周ポケット検査・歯石除去)
- スケーリング・ルートプレーニング
【自費診療の例】
- 歯周組織再生療法(高度な再生治療)
- 歯肉移植術(見た目の改善を目的とする場合)
費用に関しては、事前に詳しくご説明し、ご納得いただいたうえで治療を進めます。無理に高額な治療をおすすめすることはありませんので、どうぞご安心ください。
Q5. 通院はどれくらい必要ですか?
A:症状の進行度によって異なりますが、軽度の場合は2〜3回程度の通院で改善が見込めることもあります。中等度〜重度の場合は、数ヶ月間にわたる計画的な治療が必要です。
【通院目安】
- 軽度の歯肉退縮:2〜3回の治療+定期メンテナンス(3〜6ヶ月ごと)
- 中等度の歯周病:1〜3ヶ月ごとの通院で集中的に治療
- 重度の歯周病:数ヶ月以上の治療+外科的処置が必要な場合も
また、治療が完了した後も、再発防止のために定期的なメンテナンスが重要です。当院では、患者様ごとのリスクに応じた最適な通院頻度をご提案しています。
⑥まとめ

今回は、歯茎が下がる原因や対処法について解説しました。
歯茎が下がる主な原因は、歯周病、不適切なブラッシング、歯ぎしり・食いしばりです。
喫煙習慣やホルモンバランスの乱れは、歯周病のリスクを引き上げる要因として挙げられます。
こうした原因で歯茎が下がったとしても、放置せずに歯科医院を受診すれば、それぞれの症状に適した治療が受けられます。